4連敗であっさりと敗退、亀井だけが胴上げを見ていた
ホークスに3連敗し後がなくなったジャイアンツは、故障の不安の残るエース菅野を先発に立てる背水の陣で臨んだ。
シーズン最後の登板ではストレートが140キロ前後しか出ていなかったが、今日は140キロ台後半まで戻ってきており、変化球の精度もよくて、3回までホークス打線を1安打無失点に抑えていた。
でも、4回表、1死1塁からデスパイネのサードゴロを若林が取れずにピンチを広げると(記録はヒット)、グラシアルに3ランを浴びて3点を失う。
6回裏に岡本の2ランで2点を返し、同点・逆転へ向け東京ドームのボルテージは高まったのだけれど、7回表にその岡本がエラーでランナーを許すと、1死1塁でセカンドに入っていた山本が送球エラーで1点を追加されてしまう。
7回裏に丸のシリーズ初安打で1点を返すのだけれど、反撃もここまで。9回裏、2死から亀井が四球を選び、キャプテン坂本勇人につなげるが、坂本はホークス守護神・森の前にあえなく三振。この瞬間に福岡ソフトバンクホークスの3年連続の日本一が決まった。
日本シリーズ第4戦 岡本和真2ランホームラン
ホークスと力の差は感じていたけれど、まさか、1勝もできないとはね。
ジャイアンツは、まだまだこれから成長していかなければいけない選手が多い、発展途上のチームだ。それだけに残念だったのは、試合終了後のベンチを見たときだ。
工藤監督の胴上げをみていたのは、ベテランの亀井たったひとりだったのだ。
目の前で相手チームの指揮官が胴上げされる姿なんて見たくない。その気持ちはわかる。試合終了後にベンチ裏でミーティングがあるから、早く下がらなければいけない事情もあったかもしれない。
でも、亀井は用具を片付けながらも工藤監督の胴上げをしっかりと目に焼き付けていた。
ジャイアンツの弱点と課題が晒された日本シリーズ
2019年の日本シリーズはホークスにいいようにやられたシリーズだった。ホークスは自分たちの野球ができていたのに対し、ジャイアンツは自分たちの野球がまったくさせてもらえなかった。
普段の力が出せず浮足立った若手たち
シリーズを通じて、若手選手たちが自分たちの力を発揮できぬままに終わってしまった。
第4戦にホームランを打つなど、CS・MVPの岡本は尻上りに調子を上げていっていたけれど、打率は1割台。第1戦のホームランを打った大城も終わってみれば2安打。
普段通りのプレーができていたのは田中俊太くらいではないだろうか?
どうやら、日本シリーズはCSとは違う緊張感があるようだ。ポストシーズンという意味では一緒だと思ってしまうのだけれど、出場した者でなければ分からない雰囲気があるんだろうね。
その雰囲気にのみ込まれてしまったのが戸郷、若林、山本だ。
戸郷は第3戦に3番手で登板。
リーグ優勝戦、慎之助の東京ドーム最終戦、CSファイナルなど緊張する大舞台でも飄々と投げていた戸郷だったけれど、内川に打たれた1本のヒットで自分を見失ってしまった。
若林はシリーズ全試合に出場し、6打席でノーヒット、3三振。死球が1個あっただけで、四球もなし。自慢の選球眼を生かすこともできなかった。
第4戦・4回表のデスパイネの打球は、記録はヒットだったけれど、実質的にはエラー。レギュラーシーズンでも夏場あたりからセカンドを外されるようになったし、若林は守備力に難があるよね。秋はドロドロになるまでノックを受けてほしい。
山本は第2戦、第4戦のエラーが致命的だった。打つ方でも3-0。
今回の日本シリーズのミスを糧にして、来季以降活躍してほしい。
そうじゃなければ、何年かして「ああ、山本っていたね。日本シリーズでエラーしてたやつでしょ」としか語り継がれなくなってしまうぞ!
主力どころが封じ込まれてチームをけん引できず
そもそも、若手がシリーズの雰囲気に飲まれてしまった要因は、主力どころが封じ込まれてしまったことにある。主力が結果でチームを引っ張っていれば、若手も落ち着きを取り戻したはずだ。
この日本シリーズでは、亀井、坂本、丸、岡本の1番から4番が完全に寸断されてしまった。
亀井は3戦・4戦で結果を残し、シリーズ敢闘賞に選ばれたけれど、1・2戦のノーヒットは痛かった。
岡本も1本塁打3打点だったけれど、打率は.188。
でも何といっても坂本と丸だね。
4戦を通じてそれぞれヒット1本ずつ。四球は選んでいたけれど、ホークスバッテリーにぐちゃぐちゃにされてしまった。
坂本は昨シーズンまでは追い込まれるとコンパクトなバッティングに切り替えていたけれど、今シーズンは追い込まれても強いスイングをして結果を残してきた。でも、日本シリーズではそれが裏目に出てしまった。
丸は基本的にデータを蓄積して結果を残すタイプ。短期決戦向きの選手ではないのだけれど、来季も交流戦はあるのだし、短期決戦でも結果を残せるようにバージョンアップしていってほしい。
同じ打者に何度もやられるバッテリー
日本シリーズでは4試合で3本、グラシアルにホームランを打たれた。
レギュラーシーズンではベイスターズのソトやカープの鈴木誠也に打たれまくっていたし、同じ打者に何度もやられるというのは、ここ近年のジャイアンツバッテリーの悪癖だ。
今シーズンは炭谷が加入したことで、キャッチャー3人の併用体制だったけれど、夏場以降、小林誠司がすごく伸びた感じがした。そしてCS、日本シリーズのポストシーズンでは大城がすごく成長したように思う。
来シーズンは、ホークスの甲斐、高谷のように主戦捕手+1人で、もう1人は予備役的な体制が取れるといいと思う。
もうちょっとだけ慎之助を見たかった
今日は途中出場だった阿部慎之助。
6回の代打では死球、8回の打席ではセカンドゴロで現役最後の試合を終えた。
あと数試合、数打席。慎之助のバッティングが見たかった。
ホークスの優勝セレモニーの後に、ジャイアンツナインに胴上げされ、最後の最後にホークスナインに胴上げされた阿部慎之助の姿はとても感動的だった。
そして、試合後に引退を表明したマシソンにも「ありがとう」と言いたい。
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