大城は第2の小笠原道大か?第2の阿部慎之助か?
5月26日から原監督は大城を5番打者として起用している。主なポジションはファースト。ビハインドゲームでは途中からキャッチャーとしてマスクを被るケースもあるが、スタメン出場はファースト。初めて5番に入った5月26日こそノーヒットだったものの、次の試合からは毎回ヒットを打っていて、6月5日現在、7試合連続安打で、5番に入ってからの成績は打率.308、2本塁打、5打点と5番としての役割をしっかりと果たしている。
もともとバッティングの評価は高かった大城。キャッチャーは守備の負担が大きいポジションだけに、本格的に野手にコンバートすれば、かつてキャッチャーからコンバートして大打者となった小笠原道大クラスの打者になれるのではないかと僕は思う。
でも、もったいない気もする。第2の阿部慎之助とまではいかなくても、球界屈指の強打のキャッチャーにもなれる気がする。
肩では小林誠司に及ばないし、キャッチング技術では現時点で炭谷銀仁朗にはかなわない。でもリードは悪くないと思う。あの野村克也氏も大城のリードを次のように褒めている。
「味のある配球するしね。相手バッターの分析力とか観察力ってのは良く出てると思うよ。面白いよ、このキャッチャー」
「頑張れっていう声援を送りたくなるキャッチャーだな。育ててみたいよね」
TBS『S☆1』4月28日放送分より
では、実際に開幕してから、捕手としてどのような結果を残したのか? データで見てみたいと思う。
大城の防御率は小林、炭谷よりも上
データ集計期間は、2019年セ・リーグ開幕から交流戦前までの3月29日~4月2日まで。通常、投手の防御率はエラーなどは含まれないのだけれど、今回は捕手の防御率ということで、エラーでの失点も含めた防御率として算出した。また、負けた試合のうち、自分がマスクを被っているときに決勝点を奪われたケースを責任敗戦と定義した。この期間、宇佐見も出場しているが試合数が少ないので参考にはならないだろう。
捕手名 | 先発 | 途中 | 完投 | 回 | 失点 | 防御率 | 責任敗戦 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
小林誠司 | 24 | 9 | 13 | 205 | 97 | 4.259 | 11 |
炭谷銀仁朗 | 16 | 4 | 10 | 135回1/3 | 64 | 4.256 | 9 |
大城卓三 | 10 | 13 | 2 | 108 | 44 | 3.667 | 3 |
宇佐見真吾 | 1 | 2 | 0 | 9 | 4 | 4.000 | 0 |
先発出場は、小林、炭谷、大城の順で、大城は途中出場の試合のほうが多い。小林はビハインドゲームで交代させられるケースが多く、1試合ひとりで守り続ける「完投」は13/24で完投率は54.2%だ。一方、炭谷は勝敗にかかわらず1試合任されることが多く、完投率は62.5%(10/16)。大城は小林と真逆で、勝ちゲームでは必ず守備固めを出されてしまう。ゆえに完投はわずか2試合でいずれも負けゲーム。完投率は20.0%だ。
責任敗戦数でいうと、先発出場の少ない大城がもっとも少なく3。小林が11と最も数が多いが、勝率的な考え方で行くと、炭谷が最も悪い。
ジャイアンツはリリーフ陣が弱いと言われるが、キャッチャーが途中交替してそのキャッチャーが責任敗戦となったケース、つまりキャッチャーが替わって逆転されたケースは、わずかに4試合だ。内訳は小林が2、炭谷と大城が各1。小林の2敗はいずれも大城が先発マスクだった試合だ。
防御率は、小林と炭谷は4.26でほぼ同じ防御率なのに対し、大城は3.67と0.6も優れている。
大城がスタメンマスクの試合結果は6勝4敗でそのうち2試合が小林が逆転されているので、投手成績に準じて考えると、6勝2敗ということになる。
ジャイアンツの交流戦前の成績が、27勝23敗1分だから、ジャイアンツの貯金4つは大城が作ったと言っても過言ではないのだ。
もちろん、バッテリーを組む投手も違うので、この数字で大城が小林や炭谷よりも優れているとは言わない。でも、小林なんかは、菅野、山口俊という先発でもっとも信頼できる2人とバッテリーを組んでいてこの成績なのである。少なくとも、大城は小林や炭谷と十分競える結果をキャチャーとしても残していると言える。
そう考えると、大城のファースト完全コンバートはもったいないと思えてしまう。
ひとまず保留という考え方も中途半端だけれど、今シーズンは半分キャッチャー、半分ファーストとして使ってみてほしい。
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