リリーフキャッチャー「小林」という考え方

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オープン戦も後半に入り、どのチームも主力選手の出番が増えて、開幕に向けた戦い方やオーダーというものがぼんやりと形になりつつある。オリックス宗佑麿や日本ハムの横尾俊建、楽天の内田靖人、ヤクルトの廣岡大志ら若手が開幕スタメンに名を連ねそうな勢いだ。ジャイアンツでも岡本和真が阿部慎之助から一塁スタメンを奪えそうな成績を残しており、巨人ファンも胸をワクワクさせているはずだ。

そんななか、侍ジャパンにも選ばれている捕手の開幕スタメンの座が怪しくなりつつある。そう、小林誠司だ。3月17日時点での打率は21打席で20打数1安打、打率は.050。春季キャンプであれだけ振り込んでいたにも関わらず、まったく結果が伴わない。

その一方で、ドラフト3位の大城卓三が16打席15打数5安打、3打点、1本塁打で、打率.333と首脳陣に大いにアピールしている。3月17日の西武とのオープン戦ではスタメンマスクを被り、田口を好リード。打つ方ではノーヒットだったものの、先制となる犠飛を放った。

個人的には、大城に開幕マスクを任せてもいいのではと思っている。

宮崎キャンプで高田コーチから指導を受ける大城【クリックで拡大】

8番打者が打つことで7番打者が生きる

守備重視のポジションとは言え、規定打席に到達しているこの2年の小林の打撃成績はあまりにも低過ぎる。

小林と菅野の打撃成績(2016-2017)

小林誠司

年度打席打数安打打点打率出塁率
20164583988135.204.276
20174433787827.206.285

菅野智之

年度打席打数安打打点打率出塁率
20166154123.222.232
2017635490.167.211

9番ピッチャーの代表として菅野の打撃成績と比べてみた。菅野の2017年の打率が思ったよりも低かった(.200はあると思っていた)けれど、2016年の打率を見ると小林よりも高い。もちろん、打席数が違うので単純比較はできないのだが、そもそも比較できてしまうくらい数字が低いということ。

さすがに、四球も含めた出塁率でみると小林の方が良い。相手チームから多少は「キャッチャーを歩かせて、ピッチャーと勝負」されているみたいだ。けれども、8番9番で確実に2アウトを取れるということは、単純計算で6/27、終盤に代打を出すことを考慮しても4~5個のアウトを楽に献上しているということになる。つまり1試合あたり1~2イニングは得点チャンスがほぼないということになる。

そして、8番と9番で楽にアウトを取れるということは、それだけ7番打者に厳しい攻めができるということにもなる。

今年の巨人にとって、7番は若手野手へのチャンス枠となる可能性が高い。本来ならば気楽に自分の打撃ができる打順なのに、四球でもいいからとギリギリを攻められては、なかなか成績も残せない。

例えば、1アウト1塁で、7番岡本。長打が出れば1点入る場面。
岡本が長打を打つ確率と、8番9番がシングルヒットを打つ確率を天秤にかけた時、岡本が長打を打つ確率の方が高いと相手バッテリーが考えれば、四球でもよいので、絶対に長打を打たれないボール気味の配球で勝負されてしまう。
1アウト2塁ならば、申告敬遠だってありそうだ。

8番バッターとはいえ、そこそこの打撃は必要だ。僕は、長打のないバッターならば打率.260、年間10本くらいホームランを打てるバッターならば打率.230は最低限と考える。

そういう観点から考えると、現時点での小林の打力は、大城=宇佐見>河野=田中貴>小林くらいなのではないだろうか。

試合の終盤で後逸しない小林の安心感

とはいえ、やはりキャッチャーは守備が重要だ。2017年のセ・リーグの守備の数字を見ると以下のような記録になっている。

セ・リーグ捕手の守備成績(規定=試合数1/2以上)

選手名チーム試合守備率失策捕逸盗塁阻止率
中村悠平ヤクルト126.99916.337
戸柱恭孝DeNA110.99725.353
石原慶幸広島76.99711.240
會澤翼広島106.99722.263
松井雅人中日84.99623.220
小林誠司巨人137.99552.380
梅野隆太郎阪神112.99454.379

失策数が5つと多いものの、試合数、盗塁阻止率はセ・リーグでナンバーワン。ゴールデングラブ賞を受賞したというのも頷ける数字だ。
さらに注目したいのが、捕逸(パスボール)の2という数字だ。

ついでに2017年のワイルドピッチの数も紹介しよう。

広島:35 阪神:41 DeNA:48 巨人:25 中日:28 ヤクルト:34

パスボール、ワイルドピッチのバッテリーエラーは試合の終盤でチームの勝敗に大きな影響を及ぼす。3塁にランナーがいれば1点が入ってしまう場面で、キャッチャーが止てくれるという安心感がなければ、落ちるボールは投げにくい。投げたとしても甘く入る可能性も高くなる。そうなると攻撃側は待つボールを絞りやすくなる。

ボールを後ろに逸らさないという点において、小林はセ・リーグでもっとも安心できるキャッチャーなのだ。

今のところ大城は無難にこなしているが、試合終盤の1点をめぐる攻防などでは、経験の浅いルーキーではやはり心もとない。僕としては勝っている試合の終盤にリリーフキャッチャーとして小林を投入するという戦術を推したい。

小林を先発で使って、劣勢の終盤で代打を出すよりも、打撃の強い大城や宇佐見を先発で使って、勝ち試合の終盤に小林を投入して守り切るのだ。巨人のリリーフ陣は、上原、澤村、マシソン、カミネロといずれも落ちるボールを持っている。終盤の大事な場面はボールを後ろに逸らさない小林に任せたい。若手キャッチャーに経験を積ませることもできる。

由伸監督にはぜひ検討していただきたい。

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1975年、ジャイアンツの歴史上、唯一の最下位だった年に生まれる。
同学年の選手は高橋由伸、上原浩治、高橋尚成、井端弘和、岡島秀樹など。

生まれてからの最初の記憶が、祖父の家のテレビで観た王さんの756号という巨人ファン。1989年の近鉄との日本シリーズ、3連敗からの逆転日本一を疑わず、それが実現したことから、本格的にジャイアンツにのめり込む。

高校時代から東京ドームに通い始め、1994年には東京ドームでアルバイトをし、日本シリーズでは長嶋茂雄監督の胴上げを生で観る

大学時代に某スポーツ解析ソフトウェア会社にアルバイトとして働き始め、そのまま入職。野球とラグビーのデータ入力と解析を担当した。

2008年には年間およそ50試合ほど、東京ドーム、神宮、横浜などで観戦したが、仕事の都合上、現在は日テレG+での観戦やネット観戦が多い。

夢は東京ドームの年間シートを購入して、毎試合生観戦すること。

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コメント

  1. […] 以前書いたリリーフキャッチャー「小林」という考え方のなかで、僕は小林の打撃を、ピッチャーの菅野と比べた上に、巨人のキャッチャーの打撃を「大城=宇佐見>河野=田中貴>小 […]

  2. […] 切ったけれど、長いペナントレースを考えると、この春先に大城に経験を積ませておきたいところ。僕の持論、リリーフキャッチャー「小林」という考え方に由伸監督も賛同してほしい。 […]

  3. 匿名 より:

    ここ数年ジャイアンツの低迷は苦あっちゃー小林の外角一辺倒の逃げにリードによ相手チームの狙い撃ちが最大の敗因原因。現代野球はバッティングマシーンなどの開発が進み打高投低が主になっている現況では幾らストレートが早くても又フォークやスライダーが投げられても使い分けした内外角、高低を駆使した巧みなリード、特に内角に食い込む球を投げさせなければ外角一辺倒の投球では今の打撃陣を討ち取るのは困難。ルーキー大城や宇佐美などは小林を違い際どい内角を攻めさすので彼らが先発で出る試合はピッチャの防御率が小林の時より数段良い実績が出ている点を考慮し、小林重視の考えを改め監督やコーチがもっと勝つ野球に徹してほしい。

    • かめ うさぎ より:

      最近、小林がリリーフキャッチャーで起用されていますが、終盤にリリーフが打たれますね。やはりリードも問題かもしれないですね。

  4. […] 小林の方が肩も強いし、キャッチングも上手い、経験もある。去年、「リリーフキャッチャー「小林」という考え方」というタイトルで、僕も小林のリリーフキャチャー起用を考えた。 […]