ジャイアンツが去年の甲子園のヒーローを攻略
ジャイアンツ球場で行われたイースタン・リーグのファイターズ戦。ファイターズの先発は、昨年の甲子園準優勝投手で金足農業旋風を巻き起こしたドラフト1位ルーキ・吉田輝星。この試合で好投すれば1軍昇格も、と報道されていた注目の1戦だ。
ジャイアンツ打線は以下のオーダーで臨んだ。
ジャイアンツスタメン
1番セカンド 田中俊太
2番レフト 石川慎吾
3番DH 山下航汰
4番サード 北村拓己
5番ファースト 中島宏之
6番ライト 加藤脩平
7番キャッチャー 田中貴也
8番ショート 吉川大幾
9番センター 松原聖弥
ピッチャー 高田萌生
1回裏、ジャイアンツは2番の石川がライト前ヒットで出塁するが、続く3番の山下航が併殺打に倒れ、3人で攻撃を終了する。
2回裏、先頭の北村、続く中島の四球で無死1・2塁とすると、6番の加藤が吉田輝星のストレートを右中間に弾き返すタイムリー2ベース。7番田中貴もセンター前へのタイムリーで続き、1死後9番松原がライトへの2ランホームランで一挙5点。
ジャイアンツは3回裏にも吉川大幾のタイムリーで1点を追加した。
100球程度は投げさせると見られていた吉田輝星だったが、3回71球、6安打4四球6失点で降板となった。
この日はストレートを中心にピッチングを組み立てていた吉田輝星。145キロ前後のストレートを投げていたけれど、その精度はまだちょっと1軍では通用しないかな。ファーストストライクは外角低めにストレートが決まるのだけれど、その後が高めに上ずったり、甘いところに入ったりする。1球目がストライクコースギリギリで、2球目以降が真ん中に寄っていくか、明らかなボール球になっていくから、打者には打ちやすいはずだ。他球団のゴールデンルーキーだけど、1軍で活躍するのはもう少し先になりそうだ。
ファームで注目の若手選手
山下航汰【009】
昨年の育成ドラフト1位の高卒ルーキー。日本ハムのドラ1・吉田輝星と同学年の選手で、健大高崎高校の出身。身長は176cmとプロ野球選手としては小柄だけれど、がっしりした体格で、パンチ力がある。高校時代は通算75本塁打を打っていた。
高卒の育成選手だと1年目は3軍の試合というケースが多いのだけれど、山下航汰は打撃が評価されてファームの試合で起用されてる。ここまで41試合に出場して、打率.309とイースタン・リーグ2位の打率を残している。この試合まで、16試合連続安打を打っていたけれど、この日は3打数ノーヒットに終わった。
山下航汰を評価できるところは、3打席目までノーヒットにもかかわらず、第4打席、第5打席できっちり四球を選んでいるところ。ヒットを欲しがって、ボール球に手を出しがちだけれど、自分の打撃をよく知っている感じだ。また、四球で出塁した2度とも北村の2ベースできっちりホームに戻ってきているところ。ファーストからの長駆ホームインなので、走塁はしっかりしている。機動力野球で有名な健大高崎の面目躍如といったところだろう。
今シーズンはすでに3塁打も3本放っているが、盗塁は成功が2で失敗が7。足は速いいけれど、盗塁技術はまだまだ。また、今日はDHで出場だったので、守備もまだ練習が必要かも。今シーズンの支配下は微妙だけれども、高卒ルーキーとしては、中日の根尾やロッテの藤原よりも成績を残しているし、早く1軍の試合で見てみたい選手だ。
ちなみに、童顔だ。山下航汰 プロフィール
加藤脩平【002】
2016年の育成ドラフト2位の高卒3年目。1年目は3軍で研鑽を積み、2年目の2018年はイースタン・リーグで14試合に出場、でもヒットはわずか1本に終わった。3年目の今シーズンはここまで39試合に出場し、打率.279で本塁打3本。2軍の外野のレギュラーを奪い、順調に成長している。この日も、吉田輝星のストレートをきっちり捉えており、ミートの巧い打者だ。
松原聖弥【59】
昨年からジャビッ党が推している若手外野手。春先は故障で出遅れたみたいだけれど、バッティングの調子がもう少し上向いてくれば、1軍昇格のチャンスもありそう。
和田恋【67】
4月の試合の守備で左肩脱臼で離脱していたが、この日代打で復帰。打撃に関してはもはや2軍レベルの選手ではないので、あとは試合に出て守備と試合勘を磨いて1軍を伺いたい。
モタ【014】
「打たれて走られてやりたい放題されたジャイアンツ。まるで去年のカープ戦」で、
まだ未知数だし穴だらけのバッターかもしれないけれど、支配下にあげて、ちょっと試してみても面白いかもしれない。
と書いたのだけれど、前言撤回。初めてバッティングを見たのだけれど、実践ではちょっと使えそうもない。変化球がまるで打てそうもないからだ。今年1年はじっくり練習したほうがいいと思う。
巨人2軍の投手起用に若干の疑問
この日、ジャイアンツの先発は高田萌生。制球にばらつきがあったものの、ストレートは走っていて3回終わって1失点。上々の出来だ。ところが4回、マウンドに上ったのは坂本工宜。このところジャイアンツの2軍は、先発投手を早々に代えてしまうケースが目につく。
ここ10試合を見てみても、先発で6イニング以上投げたのは5月25日の畠と5月19日の高田だけ。5回投げさせずに先発投手を変えたケースが10試合中6試合だ。
先発投手が打ち込まれてしまって、交代せざるを得ないケースは仕方がないけれど、はじめからオープナーみたいな起用方法も少なくない。
ファームは育成の場だ。多くの投手に実戦経験を積ませたいというのは分かる。けれども、現状の1軍投手陣を見ると、先発陣が7回まで投げられるケースは稀で、勝ちゲームでも5回、6回で降板してしまう。2軍で長いイニング投げていない投手に、1軍の試合で長いイニング投げさせるというのは無理な話だ。ジャイアンツは中継ぎが不安ではあるけれど、先発だって作っておく必要がある。ならば、高田萌生のような将来先発ローテーションを期待される投手には、より長いイニングを投げさせるべきなのではないかと思う。
先発は最低でも6回、目標としては7回、調子が良ければ完投させたっていいと思う。毎日完投というのではブルペン陣の出番がなくなってしまうけれど、現在のプロ野球で完投するケースがすごく減っているだけに、完投させられるチャンスがあるならば、完投の経験も積ませておくべきだろう。
コメント