鈴木尚広がスキャンダルで退団
10月16日付でジャイアンツの1軍外野守備走塁コーチを務めていた鈴木尚広コーチが辞任すると発表された。
明日はドラフト会議で、19日からは日本シリーズが始まる、この時期になぜ?
なんらかのスキャンダルだろうとネット界隈はざわついていた。
ちょうど1年前、鈴木尚広のコーチ就任が決まった頃、尚広の「DV疑惑」が噂になっている。
「まさか逮捕とか刑事事件じゃないよね?」
と思ったが、どうやらW不倫スキャンダルが週刊誌に出るらしい。
暴力とか薬物とかじゃなくってちょっとホッとしているけれど、よりによって日本シリーズを控えたこの時期に・・・と思ってしまった。
まぁ、シーズン中ならシーズン中で、「優勝争いの大事な時期に」とか、キャンプ中なら「シーズン前の大事な時期に」とか、いつだって困るんだけれどね。
不倫がどうとか、離婚がどうとかは、野球とは無関係。尚広の退団は残念だけれど、切り替えていくしかなさそうだ。
2019年の鈴木尚広効果は?
春のキャンプでは風船をつかった練習を取り入れるなど、面白い取り組みをしながら、選手に走塁・盗塁の意識を植え付けていた尚広コーチ。
その甲斐あって、今年のジャイアンツは増田が走塁のスペシャリストとして一軍に定着し、重信、若林、丸と合わせて4人が2ケタ盗塁。チーム盗塁数は2018年の61から20個以上増えて83個(リーグ2位)にまで増えた。
近年のジャイアンツの盗塁数
- 2019年 83(リーグ2位)
- 2018年 61(リーグ5位=中日と同数でビリ)
- 2017年 56(リーグ4位)
- 2016年 62(リーグ4位)
- 2015年 99(リーグ1位)
- 2014年 102(リーグ1位)
- 2013年 90(リーグ2位)
- 2012年 102(リーグ1位)
- 2011年 106(リーグ1位)
- 2010年 96(リーグ2位)
こうしてみると、原監督が指揮を執っているシーズンは、常にリーグ1位か2位の盗塁数だ。
この10年間でジャイアンツで盗塁王になったのは、2011年の藤村大介の28個だけだから、原監督の時は誰か1人が飛びぬけて盗塁をしたわけではなく、チームとして盗塁という戦術を用いているということがよくわかる。(こうやって見てみると、いかに由伸監督が動かなかったのかがわかるよね)
盗塁数の増加は一概に尚広コーチの効果とは言えないかもしれないけれど、注目したいのはその盗塁成功率だ。
2019年のジャイアンツは、盗塁数が83に対して失敗がわずか20。盗塁成功率にすると80.6%という数字だ。
チームの盗塁成功率が80%を超えるというのはかなり珍しいことらしく、今シーズンではもちろんジャイアンツが12球団トップの盗塁成功率だ。
(2位が阪神の73.5%、3位が西武の73.2%)
これは現役通算で82.9%という盗塁成功率を誇った尚広コーチの効果と言えるのではないだろうか?
春のキャンプではスタートや中間走、スライディングといった技術を走れる選手たちを集めて仕込んでいた。その効果が出てきたのだろう。
2軍には松原や湯浅といった走れる選手もまだいるし、吉川尚輝や田中俊太あたりも技術を磨けばもっと走れる可能性が高いだけに、尚広コーチの退団の影響は小さくはないかもしれない。
日本シリーズはどうする?
走塁技術や盗塁技術は一朝一夕で上手くなるものではないので、尚広コーチが抜けたことで、選手の技術面での影響は直近ではないと思う。
ただ、一塁コーチャーとしてランナーに言葉をかけていたことによって、選手たちが「走れるマインド」を持てていたとするならば、尚広コーチがいないことで、スタートが切れないということはあるかもしれない。ましてや日本シリーズの相手キャッチャーは甲斐キャノンだ。
尚広コーチが抜けた枠は、2軍から村田修一打撃コーチが入って埋めるらしい。たぶん来シーズンはそのまま一塁打撃コーチになるんじゃないかな。
そして一塁コーチには後藤コーチが入る。
後藤コーチは、ヤンキースにコーチ留学したこともあり、心理学的なアプローチも知っているコーチだ。かつて「ブラインドショット」という指導法で亀井の好調を支えたこともある。一塁コーチには適任だろう。
尚広コーチが抜けたことによって「ジャイアンツは走れなくなる」と思う裏をかいて、逆にどんどん走らせるということも原監督ならやりそうだ。
来年の走塁コーチは誰?ジャビッ党が大胆予想
では、来季の走塁・盗塁指導を誰に担当させるかだ。
日本シリーズ前だから表立っては出てこないだろうけれど、来季の組閣は水面下で動いているはずだ。でも、守備走塁コーチは来季も尚広コーチを想定していたことと思う。だとしたら、急いで後任をさがさなければいけない。
手っ取り早いのは、2軍から内部昇格させることだ。
片岡治大
実働12年 通算盗塁数320
盗塁の実績で考えれば片岡コーチを昇格するのが一番だろう。2007年から4年連続で盗塁王のタイトルを獲り、2008年~2010年にかけては50盗塁以上を記録している。2008年の日本シリーズで魅せた盗塁と神走塁が原監督の記憶に残り、のちにFA宣言したときにラブコールされたというのは有名な話だ。
セカンドのレギュラーが決まらないだけに、内野守備でのコーチも期待できそうだ。
松本哲也
実働9年 通算盗塁数65
盗塁技術という面ではやや不安ではあるが、走塁技術の指導は問題ないだろう。何よりも外野守備に関してはエキスパートだ。小さな体で球際に強いプレーを見せてくれていたことはまだ記憶に新しい。
尚広コーチが抜けたことで、外野守備を見られるのが後藤コーチだけになってしまうので、そいういう面でも内部昇格候補として有力だ。
藤村大介
実働5年 通算盗塁数28
内部昇格候補としてダークホース的な存在は藤村だ。2011年に規定打席未到達ながら盗塁王になった実績を持つ。とはいえ、年齢が若すぎるし、まだ1軍コーチは早いかな。
では、外部から招へいするには誰がいいだろうか?
緒方耕一
実働9年 通算盗塁数96
90年代のジャイアンツのスピードスターといえば、イケメン緒方耕一だ。1990年、1993年と2度盗塁王を獲得(1993年の24個は最小の盗塁王)。現役時代の守備位置はセンターとセカンド。
2006年から2010年にかけて、ジャイアンツの2軍・1軍の外野守備・走塁コーチを歴任。若手時代の鈴木尚広を指導していて、尚広の師匠といってもいいかもしれない。2009年にはWBCのコーチとして原監督と共に世界一になっている。
2018年から今季まで北海道日本ハムファイターズでコーチをしており、今シーズンは一塁ベースコーチを担当していた。経歴、実績共に適任だと思う。
ただ、ヤクルトが2軍コーチとして声を掛けているという情報もあるので、今日明日にでも声を掛けておきたい人材だ。
石井琢朗
実働24年 通算盗塁数358 通算安打2432
現役時代は横浜・広島で活躍し、1993年(緒方耕一と並んで盗塁王)、1998~2000年の4度盗塁王に輝いている。引退後は広島で内野守備・走塁コーチを経て、打撃コーチとしても指導。2018年から今季まで東京ヤクルトスワローズで打撃コーチを務めた。
走塁コーチというよりも打撃コーチとしての指導力の評判が高く、ジャイアンツが来季のコーチとして声を掛けているという噂もある。原ジャイアンツでは、コーチは肩書を越えて指導できるみたいなので、打撃兼走塁コーチとか、野手総合コーチみたいな形で入閣してくれるといいかもしれない。
赤星憲広
実働9年 通算盗塁数381
言わずと知れた虎のスピードスター。ルーキーだった2001年から5年連続で盗塁王。2003年からは3年連続で60盗塁をマーク。引退までの9年間すべてで20盗塁以上を記録した。盗塁の技術と外野守備の技術は超一流だっただけに、指導者としても期待が持てる。
2011年、2015年と阪神からコーチ就任の打診を受けているが、体調面の不安から辞退しており、巨人が声をかけても断られる可能性も高いけれど、日テレ系列で解説をしているだけに、ワンチャンあるかもしれない。
緊急だったとはいえ、日本シリーズの内部コーチ昇格が村田修一コーチだったことを考えると、来季の一塁コーチボックスに入る走塁コーチは外部から招へいする可能性が高いと思う。
明日のドラフトも目が離せないけれど、日本シリーズ後の来季のコーチ人事にも注目したい!
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