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プロ野球のFA制度を考える3~FA制度改革案:日本版ウィンターミーティング私案~

前回プロ野球のFA制度を考える2~FA制度改正案:プロテクトリスト廃止私案~で紹介したプロテクトリスト廃止のマイナーチェンジ私案も悪くはないと思うのだけれど、客観的にみると、やっぱりジャイアンツに都合がよい制度改正かなぁとも思う。であれば、もっと抜本的な改革が必要なのではないかと考えたのでここで紹介しよう。

FA宣言を廃止した抜本的FA制度改革案を提案

そもそも、日本のFA制度は、権利を持つ選手がFA宣言をしなければならないというところがおかしいのではないだろうか? 長年1軍で活躍して権利を獲得したのだから、わざわざ宣言しなくても、自動的にどの球団とも交渉できるようにすればいいのではないだろうか?

ジャビッ党が提案するFA制度の抜本改革案の概要は以下の通りだ

  1. FAの権利取得には高卒・大卒・社会人卒に関わらず6シーズンの1軍登録が必要。
  2. FA権を取得した選手の所属する球団は日本シリーズ終了後5日間まで当該選手と独占的に契約交渉できる。
  3. FA権を取得した選手は、そのシーズンの日本シリーズ終了後6日後から国内外を問わずすべての球団と交渉することができる(所属球団との再交渉も可能)。
  4. FA権を取得した選手は年棒上限なく契約することができる。ただし国内球団は契約金を支払ってはならない。
  5. FA権を取得した選手は契約年数の上限なく契約することができる。複数年契約を交わした場合、契約終了年をもって再度FAとなる。
  6. 日本のプロ野球球団は70人の枠内であればFA権を持つ選手を何人でも保有できる。ただし、その合計年俸は●●億円以内とする(サラリーキャップ制)。
  7. FA交渉期間は40日間とし、それまでに所属球団が決定しなかったFA選手は、自由契約選手となる。それ以降も自由契約選手はどの球団とも契約することは可能だが、国内移籍に関しては上限年俸は元の年俸の90%とし、サラリーキャップから除外される。また移籍に関する補償なども発生しない。
  8. 日本のプロ野球球団とFA選手は年俸契約とは別に出来高契約を結ぶことができる。出来高で支払われる報酬は6の合計年俸には含まれない。
  9. 出来高の詳細項目に関しては、12球団統一の査定を用いる。出来高の設定に関しては、個々の契約に委ねる。
  10. FA交渉期間終了後に現役選手を対象としたドラフト会議を実施する。現役ドラフトは以下の選手を対象とする<。
    • ア.高卒6年目以降、大卒・社会人3年目以降かつその年の1軍登録日数が73日未満である選手
    • イ.その前のシーズンで自由契約となっている選手
    • ウ.FA交渉期間後に自由契約となったFA選手
  11. FA選手はFA対象選手の年俸の上位10%までをAランク選手、11%~20%までをBランク選手とする。FA対象選手の年俸の平均額より上の年俸選手をCランク、平均以下の選手をDランクとする。
  12. Cランク以上のFA選手が元の所属球団から移籍する場合は、移籍元球団は以下のいずれかの補償を移籍先球団に求めることができる。ただし移籍元球団が所属を問わず別のFA選手(Cランク以上)を獲得した場合は、補償請求権は消滅する。
    金銭補償
    Aランク選手 獲得初期費用(国内移籍の場合は初年度の年俸、海外移籍の場合は契約金+初年度の年俸)の100%
    Bランク選手 獲得初期費用の70%
    Cランク選手 獲得初期費用の50%
    外国人枠(国内移籍に限る)
    Aランク選手 1年間の外国人枠の移譲+獲得初期費用の50%
    Bランク選手 1年間の外国人枠の移譲
    現役ドラフト指名権
    A~Cランク選手 現役ドラフト指名権の最上位枠
    (移籍先球団が複数のFA選手を獲得している場合、年俸の高い選手の移籍元が上位の指名権を得る)

改革案では権利を取得した選手はすべてFAとなり、どの球団とも自由に交渉できるというのが基本的な考え方だ。

権利取得年数を短縮し、国内外移籍の枠を撤廃、ポスティングも廃止

それでは改革案を具体的に見ていくことにしよう。まずは項目1~3についてだ。

改革案ではFA権利取得までの日数はぐっと下げることにする。高卒・大卒・社会人入団に関わらず、一律で6シーズンの1軍登録で権利が取得できるようにした。これは1軍での貢献度が高ければ権利を得られるという考え方で、清原和博や立浪和義のように高卒ルーキーで1年目からレギュラーを獲った選手は、いち早くFA権が得られる。

FA移籍選手は、移籍するときの年齢が高く、ピークを過ぎているケースが多い。移籍前の成績を超えて移籍先でキャリアハイの成績を残すというケースがほとんどないのはそのためだ。また、国外FAだとさらに年齢を重ねるので、ピークを過ぎた状態でのメジャー挑戦になってしまう。なので、若くからFA権を与えてもよいのではないかと考えた。

その分、ポスティングは廃止する。

項目2では、所属元球団が先に契約交渉できる権利を与えた。これはトップクラスの選手を引き留めるための交渉というよりも、Cランク、Dランク選手が早めに所属先を決めるための時間だ。

Aランク、Bランク選手は、引く手あまただから、いろいろな球団と交渉して、条件の高いところに行けばよい。球団もトップクラスの選手から交渉を進めるから、どうしてもCランク、Dランク選手の交渉は後回しになってしまう。そこで、戦力としては必要だが、年俸は現状維持クラスの選手を先に契約確定させてしまえるようにするシステムだ。

サラリーキャップ制を導入し年棒総額を抑え、出来高は統一査定

項目4~8は、年俸についての考え方だ。
現行制度は前年の年俸が上限だが、ほとんど有名無実化しているので、改革案では、FA移籍選手の年俸に上限を設けていない。これだけだと果てしないマネーゲームになってしまうので、FA全選手の年俸総額を定めるサラリーキャップ制を導入する。

仮にFA選手の年俸合計を30億円としよう。すると今年のジャイアンツでいくと、菅野、坂本、丸でもう15億くらいになってしまう。改革案ではFA対象選手が増えているので、残りの15億でほかの選手をカバーしなければいけない。FA選手の保有数も支配下枠ないであれば上限がないので、編成のバランスも考えなければいけない。

陽岱鋼のように3億5年とかにしてしまうと、新たに有力選手がFAとなった時に獲得しにくくなってしまう。自前の選手がFAとなった時に引き留められないというケースもあるかもしれない。ゆえに安易に高額で複数年というのはできなくなるだろう。

また、国内移籍に関しては契約金も禁止する。FA契約金で球団財政が圧迫されないようにするためだ。

その分、出来高を厚くできるようにする。出来高はサラリーキャップ外とすることで、ベースとなる年俸を抑えつつ、結果を残せば高額の年俸を手にすることができる。

ただし、出来高は12球団で統一した査定表を用いることにする。各球団で査定にばらつきがあれば、例えば、1軍登録1日以上という出来高設定で1億円なんて契約をすれば、実質年俸1億円の上乗せができてしまう。それではサラリーキャップの抜け穴になってしまうからだ。

出来高の査定項目についてはかなり細かいものになるだろう。ただ、完全に統一してしまうと、球団によって待遇差が出しにくいので、大枠の出来高の設定方法をある程度自由にできることにする。これが項目9のことだ。

例えばホームランの本数を出来高設定にするとする。12球団で以下のような統一査定だとしよう。

  • 出来高契約A ホームラン50本以上で5億 40本で3億 30本で2億 20本で1億
  • 出来高契約B ホームラン40本以上で4億 30本で2億 20本で1億
  • 出来高契約C ホームラン30本以上で3億 20本で1億5000万 15本で1億
  • 出来高契約D ホームラン20本以上で2億 15本で1億 10本で7000万

上記の設定で、ヤクルトの山田哲人を各球団で争奪したとする。年俸と契約年数が同じとき、どの出来高を設定して山田に提示するかで、球団がどんな活躍を期待しているかが分かるし、選手自身もどの設定ならクリアできるかによって選択肢も変わる。

山田にトリプルスリーを求めるのであれば、契約Cを提示するのが妥当だが、打率を多少落としても長打を打ってもらいたいとなれば、契約AやBを提示してもよい。逆に長打を減らしても打率を求めたい場合はホームランの出来高はDにしておく方がよい。

こういった出来高設定をさまざまな項目で決めることで、各球団の独自性が出せるし、年俸が青天井になるということもない。

交渉期間は年内を想定 現役ドラフト制度を採用し、日本版ウィンターミーテイングに

項目7で契約交渉期間を40日間とした、日本シリーズが終わるのが11月5日前後だから、12月20日頃までがFA交渉期間となる。自主トレやキャンプの準備などもあるので、年内には球団も選手も所属先は決めておきたいので妥当ではないだろうか。

40日を過ぎた場合は、通常の自由契約扱いとなってサラリーキャップから除外される。この場合、国内球団に移籍した場合は補償は発生しない。その代わり年俸は現状以上より低い90%を上限とする。

かつて広島からFAした木村昇吾のようなケースや、FAではあるものの実質的には戦力外といった選手がこれに該当する。また、海外移籍が決まらず、出戻りで国内移籍を目指す場合もこれに該当する。

メジャーへの移籍を希望する選手にとっては40日間では足りないかもしれない。けれども、結局移籍できずに出戻るということになるならば、そのくらいのリスクは負うべきだろう。

そしてFA交渉期間が終了した後に、現役ドラフトを実施する。1月23日に選手会とNPBの事務折衝で議題に上がった制度だ。ここでは詳細は割愛するが、メジャーリーグのルール5ドラフトを参考にしたもので、活躍機会に恵まれない選手をシャッフルしようというものだ。

新FA制度はこの現役ドラフトまでを1セットとして、12月下旬まで行う。いわゆる日本版ウィンターミーティングで、オフシーズンも盛り上がること間違いないだろう。

メジャーほどではないが新制度で移籍が活発になる

項目11、12は補償に関する項目だ。
今回提案した改革案に基づく新FA制度では、多くの選手がFAとなり、移籍交渉が活発化する。おそらく、各球団10~15名程度、100名を超える選手がどの球団とも交渉できるのだから、オフシーズンは球団も忙しくなるだろう。選手は代理人交渉が主流となると思う。

現在は年に数名しかFA移籍しないが、新制度では10名以上は動くと思う。各球団2名ずつくらいは動くのではないだろうか? 主力を獲られても、ほかから有力選手を獲れるので、基本的には人的補償の概念はなくなる。

それでもかたくなにFA補強はしないという球団もありそうだから、金銭補償や外国人枠補償というのを設けた。外国人枠を元の球団からひとつ奪えるのだから、移籍元も結構痛いかもしれない。

また、複数名の中堅選手がごっそり抜ける可能性もあり得るので、現役ドラフトの指名権を補償として用意した。中堅選手の補強ならば、現役ドラフトでなんとかなるだろう。

メジャーへの移籍に関しては、金銭的補償をしてもらうことにする。メジャー移籍については契約金を禁止していないので、高額の契約金で契約してもらえれば、移籍元も多額の補償金を得られる。メジャー球団にしてみればポスティングほど資金がかからないので、中堅どころの選手でも契約しやすくなるだろう。

新制度によってメジャーのように主力選手が大シャッフルされて、プロ野球がつまらなくなるという反論もあるかもしれないが、日本の文化的側面を考えると、そこまで大人数が移籍することはないと思う。

僕が思う理想的なFA移籍の姿というのは、1993年のFA元年に落合博満がドラゴンズからジャイアンツに移籍し、駒田徳広がジャイアンツからベイスターズに移籍した事例ではないかと思う。巨人が落合を獲得することで、ポジションが重なる駒田は出場機会を奪われる。それならば移籍の道を選んで、他球団に活躍の場を見出すという姿だ。

今回提示した新制度ならば、現役ドラフトも含めて、出場機会を増やしたいと実力のある中堅どころの選手の移籍が活発化して、プロ野球全体が面白くなるのではないだろうか?

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