4月24日の中日戦を終え、ジャイアンツの小林誠司が規定打席に到達。打撃ランキングのトップに立った。2016年・2017年と規定打席に到達した選手で、ダントツの最下位だった小林がまだ4月とはいえ、首位打者だ。彼の打撃好調の秘密はどこにあるのだろうか?そして、このまま高打率をキープしながらシーズンを終えることができるのだろうか?
小林の打撃好調で改めて感じた松井秀喜の凄さ
はじめに、小林誠司に謝らなければならない。
ごめんなさい。
以前書いたリリーフキャッチャー「小林」という考え方のなかで、僕は小林の打撃を、ピッチャーの菅野と比べた上に、巨人のキャッチャーの打撃を「大城=宇佐見>河野=田中貴>小林」という序列をつけて示した。現在の数字を見ると、これは全面的に撤回しなければならない。
今年の小林は、確変状態といっていいだろう。この状態がずーっと続くとは思えないけれども、さすがに昨年のような低打率にあえぐということはあるまい。
小林の打撃について解説者の多くが、スイングスピードが速くなっているという。これもひとえに秋と春のキャンプでの振り込みが効いているのだろう。バットコントロールもよくなっている気がする。外へ逃げる変化球をバットでうまく拾ったセンター前やセカンドオーバーのヒットが増えたように思う。下半身に粘りができているのだろう。
宮崎春季キャンプでは、高橋由伸監督が松井秀喜臨時コーチに重点指導を依頼したのが小林と岡本だ。一昨年は松井臨時コーチのアドバイスによって、一皮剥けた坂本勇人が首位打者を獲得している。松井臨時コーチが重点指導した選手が軒並み結果を残しているのだから、その指導力は脱帽するばかりだ。
小林はファーストストライクを見逃さなくなった
小林の打撃好調の理由は、フィジカルとテクニカルが向上しただけではないと思う。小林の打席を見ていて思ったのが、去年よりも甘い球を逃さずに打ちにいっていることだ。
小林のカウント別打撃成績(2017年と2018年4月25日現在の比較)
2017年 | カウント | 2018年 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
打数 | 安打 | 打率 | 割合 | B-S | 打数 | 安打 | 打率 | 割合 |
43 | 9 | .209 | 11.4% | 0-0 | 9 | 4 | .444 | 17.3% |
31 | 8 | .258 | 8.2% | 1-0 | 4 | 2 | .500 | 1.9% |
4 | 2 | .500 | 1.1% | 2-0 | 1 | 0 | .000 | 1.9% |
1 | 0 | .000 | 0.3% | 3-0 | 0 | 0 | - | 0% |
21 | 8 | .381 | 5.6% | 0-1 | 7 | 2 | .286 | 13.5% |
50 | 15 | .300 | 13.2% | 1-1 | 4 | 3 | .750 | 7.7% |
16 | 3 | .188 | 4.2% | 2-1 | 0 | 0 | - | 0% |
9 | 2 | .222 | 2.4% | 3-1 | 0 | 0 | - | 0% |
37 | 3 | .081 | 9.8% | 0-2 | 2 | 2 | 1.000 | 3.8% |
80 | 11 | .138 | 21.2% | 1-2 | 10 | 2 | .200 | 19.2% |
46 | 6 | .130 | 12.2% | 2-2 | 13 | 4 | .308 | 25.0% |
40 | 11 | .275 | 10.6% | 3-2 | 2 | 0 | .000 | 3.8% |
0-0、0-1からの打撃成績
- 2017年 割合19.6% 打率.230
- 2018年 割合25% 打率.460
昨年までの小林は、初球のカウント球を簡単に見逃している印象が強かった。ほぼ真ん中のストレートをまるで打つ気なく見逃した打席も多かったし、カウント1-0(1ボール・ノーストライク)からの甘い変化球を見送るシーンも目についた。甘い球を見逃して、難しい球を打ちに行っているのだから、打率が上がるわけがないと思っていた。
去年と今年のカウント別の打撃をくらべると、0-0、1-0のいわゆるファーストストライクで打ちにいった割合が19.6%から25%に上がっていることがわかる。そして打率も.230から.460と各段によくなっている。
つまり、2018年の小林はファーストストライクを積極的に打ちにいって、確実にヒットにしているということだ。
7番という打順で本当の実力が試される
そんな打撃好調の小林が4月25日に7番に打順を上げた。
いままでの8番打者という打順は、次打者が投手ということもあり、ボールが先行すると歩かされるという可能性が高くなる。そのため、カウント別の打撃成績では、2-0、3-0、2-1、3-1というカウントではほとんど打ちにいっていない。
だが、7番打者ならばボールが多少先行しても相手バッテリーは勝負してくるので、有利なカウントでの打撃がこれからの小林の打撃成績を左右することになるだろう。甘い球をしっかり捉えられている今の状態ならば、好成績をキープすることも可能かもしれない。
また、小林は昨年と今年の打率を見ても1-1の並行カウントで高い打率を残している。今年に関しては2-2でもよく打っているので、追い込まれてもファウルなどで粘って並行カウントまで持っていくことができれば、高い打率を維持することができるだろう。
小林に関しては、リード面に関してまだ課題の多いキャッチャーだと僕は見ている。けれどもキャッチャーは打撃が良くなるとリードも冴えると言われているので、このまま高打率をキープしてリード面でもしっかり投手陣を引っ張っていってほしい。
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