FA補強失敗に、山口俊がポスティング。戦力ダウン必至のジャイアンツの補強策は?

プレミア12で侍ジャパンが優勝し、2009年のWBC以来10年ぶりの世界一に輝いた日本プロ野球。めでたしめでたしで、2019もオフシーズンかと思ったら、ジャイアンツファンには寝耳に水の「山口俊ポスティングでメジャー挑戦」の一報!

いやいやいや、ちょっと待ってよ。FAで美馬と鈴木大地を獲得でいなかったのはいいけれど、投手陣の柱の山口俊が抜けるって、あまりにも大きすぎる戦力ダウンでしょ。

2020年に向けてどうやって戦力を整えていくべきか、ここまでの補強失敗とともに考えたい。

FA失敗は想定の範囲内

今オフ、巨人は楽天からFA宣言した美馬投手と、ロッテからFA宣言した鈴木大地内野手の獲得に手を挙げた。結果はご存知の通り、美馬→ロッテ。鈴木大地→楽天と、トレードみたいな決着となった。

ジャイアンツがFA戦線で連敗して1人も獲得できなかったのって、ちょっと記憶にないんだけれど。でも、いいんじゃないかな。無理にFA選手を獲得しなくても。

FA参戦が義務化されているジャイアンツ

さかのぼること11月2日、原監督はこんな言葉で今年のFA戦線への参戦を表明した。

「FAしたら参加するのがジャイアンツ。そうしないとFAが駄目になる。誰かは参戦すると思う。FAで手を挙げたらちゃんと価値ある人に話をしていく、こちらの意見を聞いてもらう、というのは大事なこと」

これね、球界の盟主を自認しているジャイアンツの痛いところだと思うんだよね。

もちろん、過去を見ればFA補強していない年もあるけれど、基本的にはジャイアンツは参加する立場。だって、選手がようやく手にした権利を行使したところで、どの球団も及び腰というのでは、そのうちだれもFA宣言しなくなってしまう。

だからジャイアンツは、この選手は「FAで獲るのは微妙」っていう選手でも、手を挙げているんじゃないかな。

もちろんフロントが現場に対して「補強しましたよ」っていうアリバイ作りみたいな年もあったと思う。

今年の場合、原監督が編成権も握っているから、美馬も、鈴木大地も一応、欲しかったんだろうけれど、昨年と比べると熱量は低かったよね。

一応、ジャイアンツも参加しましたよって感じのFA戦線だったと思う。

やっぱりFA制度は変えていくべきだと思うね。

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巨人ファンから反対の声も大きかった美馬

2019年のジャイアンツの弱点は間違いなくピッチャーだった。先発も駒不足だったし、リリーフ陣も不安定だった。投手陣の補強が今オフのジャイアンツの最重要課題であることは間違いない。

でも、美馬…?

美馬には失礼だけれど、多くのジャイアンツファンが思ったはずだ。実際、ネットでは「美馬はいらない」なんて声も多くあった。

でも、美馬はいい選手だよ。個人的には2013年の日本シリーズでいい投球をされた記憶が強い。性格もいいらしいし、パ・リーグで6人しかいない規定投球到達者の1人だし。

ジャイアンツだって今年は規定投球に到達したのが菅野だけだったから、1年を通じてローテーションを守れるというのは大きな戦力であることは間違いない。

でもね…。

美馬学投手成績(2019)
8勝5敗 防御率4.01 投球回143.1
【参考】桜井俊貴投手成績(2019)
8勝6敗 防御率4.32 投球回108.1

悪いけれど、この成績ではジャイアンツでは1年間ローテーションを守れない。数字的に言えば、桜井よりちょっといいだけだ。過去に2ケタ勝利をしたことは1度しかいない。

山口俊みたいに移籍してからキャリアハイの成績を残してくれる可能性もあるけれど、野上みたいにまるで戦力にならないという可能性もある。その美馬に対して3年契約で、人的補償もあるというのでは、リスクが大きすぎる。

鈴木大地は補強ポイントに合致も評価はそれほどでも

鈴木大地は内野ならばどこでも守れるし、外野も守れる。左のクラッチヒッターだし、リーダーシップもあるので、ジャイアンツの補強ポイントにはかなり合っていると思った。もっと本気で獲りに行くと思ったのだけれど、球団の評価はそれほど高くなかったみたいだ。

ジャイアンツが本気で獲りに行く場合は、もっとマスコミに交渉をオープンにするのに、美馬もそうだったけれど、今年は「もう会いました」みたいな事後報告だった。

そして、何より原監督が出馬していない。

もし本気で獲りに行くのであれば、原監督が直接出向くだろうし、鈴木大地の現在の背番号である7を用意して待っているくらいのことはマスコミに大きく報道されるはずだ。

丸クラスだったら、「慎之助の10番をあげるよ」くらいの口説き文句も出るはずだ。

球団としてはそれほど評価が高くなかったということだろう。

ジャイアンツとしてみれば、やはりセカンドは吉川尚輝を本命に、田中俊太、若林晃弘、山本泰寛、増田大輝あたりで競ってほしいということなんだろう。

左のクラッチヒッターということで言えば、まだ亀井が健在だし、大城もいるということなんだろうね。

まさかの山口俊放出!避けられない戦力ダウン

FAでの戦力補強失敗はプラスアルファがなかったという話だけど、山口俊が退団ということになれば、大きすぎる戦力ダウンだ。

現時点で2019シーズンと比べて、以下の数字が2020年、確実にないということになる。

  • 山口俊 170イニング 15勝
  • 阿部慎之助 7本塁打 27打点
  • A・ゲレーロ 21本塁打 54打点

慎之助とゲレーロの数字は、新外国人の働き次第では埋められるかもしれないけれど、山口俊の穴はデカすぎる。15勝という勝ち星もそうだけれど、1年を通して170回を投げてくれる選手がいなくなるのだ。

個人的にはポスティング反対も時代の流れには抗えないか…

ジャイアンツとして、所属選手が初めてポスティングでのメジャー移籍容認ということになる。

基本的にジャイアンツはポスティングを認めない球団だ。

僕も個人的には、球団の財産である所属選手を金銭で譲渡するポスティングシステムには反対だ。

でも、FAで移籍してくる際に契約条件にポスティングを認める条項が入っていたのだから、もう、これは仕方ないよね。

この条項を入れなかったら山口俊をFAで獲得できなかったのだから。

これからFA移籍してくる選手に対してもこういったケースはあるかもしれない。そうしたら、FA選手だけポスティングOKってわけにはいかなくなるかもしれないな。

個人的にはポスティングって嫌なシステムだけれど、時代の流れには逆らえないのかな。

山口俊は、プレミア12での成績があまり良くなかったから「メジャーでは通用しない」とか「裏切者」的に叩いている人がいるけれども、今年のセ・リーグ優勝に貢献してくれたし、行くと決まったからには活躍してほしいと思う。

若手の成長に期待も、過剰な期待は禁物!

山口俊の抜けた分、若手にチャンスが回ってくるから、その穴は埋まってくれるなんて思っているとしたら、相当オメデタイと思う。

そりゃ、戸郷や髙田あたりがローテーションで1年間フル回転してくれたら嬉しいけれど、現実的には難しいだろう。

ドラフト2位の太田が即戦力でローテーションで回ってくれれば助かるけれど、ドラ1の高橋優貴だって5勝止まり。過度な期待は禁物だ。

基本的に、菅野が150イニング以上投げてくれるという前提で、もう1人150イニングくらい投げられる投手を現有戦力で探すとなると、田口を先発に戻すというのがベターかなと思う。

今年は中継ぎで、かなり無理な使われ方をされたけれど、本来は内外角を投げ分ける先発タイプ。プレミア12でもコントロール重視の投球をしていたし、2020年はぜひ先発で使って欲しいね。

あとは外国人の補強だね。

ジャイアンツは自前で連れてくる外国人の補強は本当に下手くそなんだけれど、先発タイプはマイコラスとか、ガルベスとか、ガリクソンとか時々「当たり」を引くこともあるので、少しは期待したい。

今、水野コーチの慎之助2軍監督がドミニカに行っていて、その後慎之助2軍監督はほかの中米諸国も観てくるらしいから、面白い素材を見つけてきてほしいね。

ストーブリーグ
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1975年、ジャイアンツの歴史上、唯一の最下位だった年に生まれる。
同学年の選手は高橋由伸、上原浩治、高橋尚成、井端弘和、岡島秀樹など。

生まれてからの最初の記憶が、祖父の家のテレビで観た王さんの756号という巨人ファン。1989年の近鉄との日本シリーズ、3連敗からの逆転日本一を疑わず、それが実現したことから、本格的にジャイアンツにのめり込む。

高校時代から東京ドームに通い始め、1994年には東京ドームでアルバイトをし、日本シリーズでは長嶋茂雄監督の胴上げを生で観る

大学時代に某スポーツ解析ソフトウェア会社にアルバイトとして働き始め、そのまま入職。野球とラグビーのデータ入力と解析を担当した。

2008年には年間およそ50試合ほど、東京ドーム、神宮、横浜などで観戦したが、仕事の都合上、現在は日テレG+での観戦やネット観戦が多い。

夢は東京ドームの年間シートを購入して、毎試合生観戦すること。

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