ジャイアンツナインの皆さん、2018シーズンお疲れ様でした。そして、高橋由伸監督、3年間お疲れ様でした。
クライマックスシリーズのファイナルステージは、マツダスタジアムで広島カープにあっさりと3連敗。エース菅野の登板機会もなく、巨人の2018シーズンは終了した。
最初から最後まで広島にいいようにやられたシーズンだった。けれども、高橋由伸監督は、来季へ向けての課題と希望をはっきりとわかる形で残してくれたのではないだろうか?
課題1:リリーフ投手陣の整備
ファイナルステージの第2戦、畠が打たれた時点で、クライマックスシリーズは実質的な終戦だった。1点差の終盤、2イニングを託したジャイアンツベンチだったが、あと1つのアウトが取れなかった。好投の田口を6回で降板させた由伸采配を批判する声もあるが、それは結果論だ。
いつも投手交代が一手遅い由伸監督。今回は批判を覚悟で、あえて一手早い交代を選んだ由伸監督を責める気にはなれない。田口が7回のマウンドに上がっても先頭の丸に同点ホームランを打たれたかもしれない。畠が8回のあとひとつのアウトを取れたとしても、9回に山口俊が同点、逆転を許したかもしれない。どう考えてもジャイアンツのブルペンは1枚駒が足りなかったのだ。
百戦錬磨の監督だったらどうにかできたかもしれない。例えば、8回裏、ツーアウト1塁から上本に盗塁を許した時点で畠から、上原にスイッチして新井を抑えるとか。あるいは新井に打たれると球場のムードが一変するので、歩かせて次の田中広輔に左の吉川光夫をぶつけるとか。たくさんの選択肢から正解を選ぶことができる監督がいるかもしれない。
けれども、あの試合の指揮官は高橋由伸監督だ。ブルペンの駒が1枚足りない。その現実が、たくさんの選択肢のなかから、由伸監督に畠に2イニングを託すという選択肢を選ばせた。高橋由伸はバッティングのセンスは天才的だったが、采配のセンスは絶望的になかった。打つ手打つ手が裏目に出るのだから。
仮に、ジャイアンツのブルペンに「スコット鉄太朗」が元気でいたとしたら、選ぶべき選択肢はひとつしかない。采配のセンスがなくても勝てたのだ。
しかし山口鉄也も西村健太朗も今シーズンでユニフォームを脱ぐ。来季の後ろ3枚をどうするか? 来季に向けた大きな宿題だ。
課題2:守備で1点を守り、走塁で1点をもぎ取る
とにかく接戦に弱かった今年のジャイアンツ。終戦となった10月19日のカープ戦では、キャプテン坂本が痛恨のタイムリーエラーで勝負を決定づける追加点を許した。
クライマックスシリーズでは、神宮・マツダのいずれでもランナーを動かし、ジャイアンツはチャンスを広げることができた。足を使うことで、少ない安打数で得点を奪う。由伸ジャイアンツ3年間でほとんどできなかったプレーだ。
田中俊太、吉川尚輝、重信慎之介。彼らがフィールドを躍動する時、強いジャイアンツが帰ってくるはずだ。
守備と走塁を武器にする選手たちをオフに鍛え上げたい。
課題3:4番をフォローする左の強打者
クライマックスシリーズの5試合で、4番の岡本はわずか1安打に終わった。初めてのポストシーズン、4番打者としての仕事をさせてもらえなかった悔しさは、必ず来年の糧となるはずだ。
それよりも問題は、5番の阿部慎之助。クライマックスシリーズの1stステージ、ファイナルステージを通じて1本のヒットも打つことができなかった。
2018年のジャイアンツの中軸を担った左打者は主に亀井と慎之助だった。もちろん、彼らはまだ必要な戦力だし、頼りになるベテランだ。けれどもこの2人に1年を通じて活躍を期待することは酷すぎる。
由伸監督の3年間で、残念ながら中軸を担える左打者を作ることはできなかった。2軍を見渡しても、岡本の脇を固められる若い左のクラッチヒッターや大砲候補はいない。ドラフトか外国人かあるいはトレードか? いずれにしても背番号24を受け継ぐ打者を探すことは急務だ。
高橋由伸監督が残してくれたもの
マツダスタジアムでの由伸采配は、退任が決まっていた由伸監督らしい優しさにあふれる采配だった。
目先の勝利だけにこだわることなく、菅野を酷使しなかった。田口や今村、若い左腕に重要な試合の先発を任せた。ノーヒットの岡本を最後まで4番から動かさなかった(最後の試合に1本出た)。田中俊太を2番で使い続けた。若きリリーフ候補・畠に1点差の2イニングを託した。
そして、高橋由伸選手が現役時代、自主トレに連れて行ったお気に入りの後輩・中井と辻をCSのベンチに入れた。
いずれも、若い力が来季に飛躍できる采配だった(中井・辻のベンチ入りを除く)。
CSで悔しい思いをした若い選手たちが、2019シーズンにこの雪辱を果たすことを期待している。
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